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東亜大学と株式会社giversとの共同研究論文が国際学術誌「PLOS One」に掲載されました
~肩甲骨の非対称性と潜在的な筋肉の“コリ(硬結:筋肉の局所的攣縮)“の関係を解明~
このたび、東亜大学(所在地:山口県下関市)と株式会社givers(整体・整骨院グループ、本社:東京都新宿区)が共同で実施した研究成果が、2025年10月27日、国際的な科学学術誌「PLOS One」に掲載されました。本研究により、健康な成人男性における安静時の肩甲骨の位置の左右非対称性と、僧帽筋に存在する潜在的な筋肉の硬結(トリガーポイント)との関連性が明らかになりました。また肩甲骨等の姿勢の非対称性は、様々な筋骨格系疼痛の原因になることが明らかとなり、コリの治療の重要性が判明しました。
Yasuhiro Aki, Ippei Okino, Genki Tsuyama, Yasuhiro Tanitsu, Hisao Nishijo, Kouichi Takamoto*. Relationship between the asymmetry of the resting scapular position and the prevalence of latent myofascial trigger points in the trapezius muscle in asymptomatic adults. PLOS One. 2025 Oct 27;20(10):e0335268. doi: 10.1371/journal.pone.0335268. *責任著者
研究概要
研究の背景
多くの人が悩まされる肩や腰の痛み。その原因の一つとして、筋肉内に形成される索状硬結(いわゆる筋のコリ)上の過敏な点であるトリガーポイント(Myofascial Trigger Points: MTrPs)が深く関与していると考えられています。しかし、痛みとして自覚されていない「潜在性トリガーポイント」が、身体の歪み、特に姿勢とどのように関連しているかは十分に解明されていませんでした。本研究チームは、症状のない健康な成人男性を対象とし、安静にしている時の肩甲骨の位置の非対称性が、潜在性トリガーポイントの存在にどのように関連しているかを調査しました。
研究の主な成果
本研究により、以下の2点が明らかになりました。
1.右の僧帽筋上部に潜在性トリガーポイントが存在する場合、右の肩甲骨は左と比較して下制(下がる)する傾向があることが示されました。この結果は、筋肉の潜在的な問題が身体の非対称性として現れる可能性を示唆しています。
2.多重回帰分析という統計手法を用いた結果、利き腕であること、および右の僧帽筋上部に潜在性トリガーポイントが存在することが、肩甲骨の非対称性に影響を与える独立した要因であることが明らかになりました。

本研究の意義
本研究は、症状を自覚していない健康な男性において、潜在的な筋肉の問題(MTrPs)と姿勢の非対称性との関連を科学的に示した、数少ない研究の一つです。この成果は、将来的に肩こりや腰痛といった筋骨格系の痛みの発生を未然に防ぐための予防策や、より効果的な治療法の開発に繋がる重要な知見となります。
論文情報
論文タイトル
Relationship between the asymmetry of the resting scapular position and the prevalence of latent myofascial trigger points in the trapezius muscle in asymptomatic adults
(健康な成人における安静時肩甲骨位置の非対称性と僧帽筋上部の潜在性トリガーポイントとの関連)
掲載雑誌
PLOS One
DOI
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0335268
公開日
2025年10月27日
研究チーム
研究責任者、責任著者:髙本 考一 東亜大学 人間科学部 スポーツ健康科学科 柔道整復コース 准教授
筆頭著者(共同研究者):安藝 泰弘 株式会社givers / 東亜大学
共同研究者:沖野 一平 株式会社givers
共同研究者:津山元気 株式会社givers
共同研究者:谷津 義康 株式会社givers
共同研究者:西条寿夫 東亜大学 人間科学部 スポーツ健康科学科 柔道整復コース 教授
研究支援
本研究は、以下の支援を受けて実施されました。
•株式会社giversと東亜大学の共同研究経費
•日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金 基盤研究(C )(課題番号:23K10467)
お問い合わせ先
東亜大学 人間科学部 スポーツ健康科学科 准教授 髙本 考一(たかもと こういち)
電話番号: 083-256-1111 E-mail: ktakamo@toua-u.ac.jp